384,403km あなたを月にさらったら

『新・乙女系ノベル』つまりは百合エロラノベ
ティアラ文庫の創刊ラインナップの一つ。
挿絵は玄鉄絢さんだ。少女セクトぉぉぉ。
本自体にR指定は無いけど、そっち系作品なんで以下収納
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タイトルはあれだけどSFじゃなくて、学園もの。
幼稚園の頃好きだった女の子を追いかけ歴史ある女学院に編入した主人公。
ところがその子は、いかがわしいことをしてるという噂の『恋愛勉強會』のメンバー。
主人公はそこに潜入する羽目になって……。


男性向けだとソッコーでアレな展開になりそうですが、
そこは乙女系と銘打つだけあって、キャラ描写・心理描写にしっかりページを割きます。
165ページの作品で、ガッツリそういうシーンはラスト一回のみという気合っぷり。
ただし、そのあとに40ページくらいのおまけがついて、
そこでは延々いちゃいちゃ絡んでます。
『しっかり物語を終わらせて、キャラを読み手の中で確立させておいて、
 そのあと物語に拘束されずにお楽しみシーンを』
という考え方かなー。これはとてもいいと思います。
最近はこういうのスタンダードなんだろうか。
昔持ってた男性向けエロノベルでは、あんまり見ない手法だったけど。


主人公のキャラクターがとてもいいです。
素敵オーラ出てる、ただし、八百屋の娘で基本根暗。
ブイブイいわせてたのは幼稚園の頃で、小学生以降はドロップアウト
高校編入で再デビューしたので、外見に反して中身はヘタレ。
百合モノの片割れはだいたいヘタレですな。でないと話が転がしにくいからだろうけど。
相方キャラは天然最強タイプで、嫌味なく仕上がっていると思います。
本編では内心がのぞけないけど、おまけでは彼女主観のシーンもあるため、
キャラクター性の補完も十分ではないでしょうかー。
サブキャラクターの何人かが、使い捨てっぽくなっているのがちと残念。
基本『二人の物語』なので、二人を後押しするお邪魔虫、およびにぎやかし、
となってしまうのは仕方ないんだろうけど。


そっち系の描写ですが、扇情的な文体ではないけど、
やってることはかなり濃い……と、昨今の市場に合っている感。
挿絵の玄鉄絢さんの世界観と合っていると思います。
というか玄鉄絢さんのノリだよなー、そっち系のみならず、全体的に。
(上のサブキャラクターで外伝エロショートショートがありえそうなあたりも)
私の中で挿絵の印象が強すぎて、文章の印象が後付されちゃってるのかな?
筆力は低くないと感じますし、この作家さんの持ち味でも有ると思いたいです。
「裸芋ようかん」シチュとか、かなり面白いですし。