手塚治虫 MW

コンビニコミック版を入手。時代のせいか、アメリカ嫌々描写が鼻につくけど、当時としてはそれが主流か。そのくせ「アメリカの一部の州など先進国では同性愛が認められている。日本は遅れてる」と言ってるし、価値観を見失って迷走した時代だったのだろうか……。思うことはあるが、責めることは出来まい。


そんなこんなで、神父様がゲイだったり、良心を持たない犯罪者が主人公っぽかったり、米軍の死の毒ガスで沖縄の島一個ジェノサイド→日本政府による隠蔽→その毒ガスが東京に保管されてて危険! 等々、いろんな問題提起を孕んだ作品。2009年に映画&TVドラマ化もされた……っていうか、それにあわせてコンビニコミックが用意されたっぽいなー。ちなみに映画のサイトで「手塚治虫最大のタブー解禁」って煽ってたけど、今の時代としては特に……というか同性愛以外は歴史上既に通過したことだからなー。「奇子」のほうがよっぽどタブーっぽいんじゃないだろうか。どれくらい客が入ったのやら。


作品としては……まあ、アトムの手塚先生と聞いてイメージするような明るく楽しい作品ではないけれど、手塚先生らしい情念を感じる作品。これ買ったの、実は結構前で、読むのにパワーいるな、と感じて放置してたんだよね。 実際、パワーいった。 思想とか情念はさておき、展開の速い犯罪物とだけ見ても、良く出来てると思う。 また、不安を残す最後のシーンはよかった。最初からこの展開のための主人公の家族設定だったのかな? まあ、そこのいたる展開は、最後につなぐために無理やり、って感じはしたけど。