いきなり前とつながらないけれど、とりあえず覚書。
先日友人と話していた中で、印象に残ったのが、
「『ひぐらし』のあの絵柄は狙ってやっている」説。
つまり、売れセンの絵を使わないことで、
「絵ではなく文章が優れている」という評価を得やすくしたり、
「あの絵であの人気ということは、どれだけ面白いのか?」
という興味をかきたてる……というのを意図してやったのではないか、と。


個人的に異論もあるけれど、納得できることもあり。
また「あえて隙をつくることで、優れた部分をより良く見せる」
という手法が、確かに効果的&思いがけない部分にも応用できる……
と確認できたのは、有意義でした。


「全て完璧なもの」なんて作れないのですから、それを逆手に取り、
「一点だけを完璧にし、残りはあえて落差を作る」というのは、
一つの優れた選択肢です。
「五教科全部70点」と、「一つが100点。残り四つ50点」では、
単なる平均点では前者が勝ちます。
しかし、「まず印象に残る」ことが大事なゲームなどの場合、
後者の方がずっと印象に残るでしょう。
これはSRCにも有効な手法です。


では実際にSRCに、これをフィードバックしてみます。
SRCに「正解」はありません。
しいて言えば「楽しんでもらう」ことが正解ですが、
誰が何を楽しいと感じるかは未知数です。
そこで、皆が楽しめる要素を入れることはあきらめ、
要素一つに重点を置いて製作する、というわけです。
ここでは「戦闘」に重点を置くことを考えましょう。
(もちろん、一言で戦闘といっても、その範囲は広いのですが……)


戦闘に重点を置く、ということは、他の部分はどうする?
つまり、シナリオプロットや登場キャラ選択、選曲、などはどうすればいい?
ということですが、
これは「楽しみの邪魔にならない程度にする。ただし質は良いものを」がよいでしょう。
雰囲気が合わないものを使うのは、「ひぐらし」の例を見ても、OKでしょう。
ただしその場合も、カラーを統一すべきです。
たとえばSFシナリオで、使える曲がファンタジー調のものしかないなら、
合わないと思っても、BGMはファンタジー調で統一してしまえばよいでしょう。


また、つかうなら質の良いものを選びましょう。
たとえば「ひぐらし」の絵は「萌えの売れセン」ではないでしょうが、
しっかりとした表現力を持つ絵です。
ですから、あの物語の急展開にも耐え、最終的には違和感を感じさせないものになるのでしょう。
表面だけ売れセンのへろへろ絵を使っていたら、
物語の急展開に絵がついていけず「絵が邪魔」な状態になったのではないか、と思います。
それは製作者とプレイヤーの双方にとって、損な事です。


「文章が苦手だ」と思うなら、いっそ物語ナシで戦闘のみのシナリオも良いでしょう。
そのほうがプレイヤーも「ああ、戦闘を見てほしいのだな」と覚悟が出来、
お互いにとって良いはずです。
ストーリーを求めるプレイヤーは寄ってこなくなりますが、
戦闘を求めるプレイヤーは確実に残ります。
逆に、なまじヘタな文章を付けてしまうと、いくら戦闘が楽しくても、
「この文章変だ……やーめた」と投げられてしまうでしょう。


重点以外の部分は、必要最低限で済ませる。これが大事だと思います。
使える労力は有限なのですから、なるべく多くを重点につぎ込むべきです。
逆に重点がきっちりしていれば、他の部分は「味」ということで、
許容してもらえるようにもなるかもしれません。
(もちろん、許容してくれないプレイヤーもいますが、
 そういった「ターゲット外」の人たちを無理に取り込もうとするよりは、
 許容してくれる「ターゲット済み」の人をしっかり抱え込むほうに、
 労力を使ったほうが有意義でしょう)


さて、では重点である戦闘を、どうすればよいのか……
となると、長くなるので今日はこれまでということで。