土佐の一本釣りスーパービジュアルコミックス版2〜7 青柳裕介

土佐の一本釣り (1ノ巻) (スーパービジュアル・コミックス)

土佐の一本釣り (1ノ巻) (スーパービジュアル・コミックス)

手に入ったのは2〜7だけど、書影のある1巻を表示。土佐の漁師の生き様は、むせ返るような昭和の香り。中卒で数年目の漁師が、幼馴染の女抱いて、「俺はコンドームつけにゃならんような男にはならんぞ。子供が出来たら俺とお前の子だろうが。何をしてでも食わしちゃる」的なこと言い放つあたり、昭和という言葉でもおさまらんかも知れぬ。いくら1975年スタートといえ……。これが青柳裕介の世界か。ちなみに、同作者の「鯨組」を知人に貸してもらったが、あれはもっとすごい、おぞましきなにかだ。
これの2世モノ的作品「純平」でこの作者に出会ったのは幸運。「鯨組」とは違い、結婚するために、いつまでも下働きではいられんと、今の船を下りて新しい地方に行くかと悩み、「より大きくなれ」と船長に送り出してもらう……など、荒々しくも陽性の物語だと思う。  昔と違って漁師のなり手がなく、若い者がいつまでも下っ端で上に上がれない…… などという問題点もきっちり描写されててかなり社会的な作品。 年上の幼馴染を抱いたり、風俗街に通ったりとかなり性的な要素もあるが、それは生きて継いでいくということだよなー。うん。